top of page

​ボランティア活動報告書の書き方ガイド 評価される構成と「課題」の見つけ方

  • 執筆者の写真: 【NPO法人CORUNUM】 HP事業担当者
    【NPO法人CORUNUM】 HP事業担当者
  • 7 時間前
  • 読了時間: 9分

最終更新日:2025年11月30日

少年がボランティア報告書を書いている様子


こんにちは。NPO法人CORUNUMです。

この記事ではボランティア活動報告書の書き方や意義、テンプレートや書く際のポイントと注目ポイントを紹介していきます。

ぜひ最後までご覧ください。



なぜボランティア活動報告書を書くのか?

​ボランティア活動の後、その活動報告が課題として課されている場合があります。

また学校推薦型選抜や推薦入試などで活動報告書が必要だという人もいるかもしれません。

面倒臭い、ボランティアは活動に意味があって報告には意味がない、などと思う人も多いでしょう。


ではそもそもなぜボランティア活動報告書を書くのでしょうか




ボランティア活動報告書の役割 1つ目


ボランティア活動報告書を書く意義はさまざまあります。


一つには、自身が行った活動を振り返る機会を作る、という役割が考えられるでしょう。

ボランティアは漫然と活動しているだけでは、ただただ時間が過ぎて行くばかりです。そして自分が何のためにやっているのかを見失い、結局は何も得られず、時間と労力だけが消えていきます。

私たちの団体でもさまざまなボランティア活動を主催・運営していますが、そのような事例は多く見受けられます。もちろん、相手(受益者)にとっては素晴らしい効果があったのかもしれません。しかし、貴重な時間を使っているからには、自分にとってのメリットや自分が得られることも同時に考える必要があるのではないでしょうか。


その手段の一つが、活動報告書なのです。


活動報告書を適切に作成することで、自分が得られたことや、これから得なければならないことを分析し、社会への理解などを深め、次に繋げることができます。


いわば、活動に対する自己分析ツールなのです。




ボランティア活動報告書の役割 2つ目


もう一つ考えられるのが、第三者に自身の特性を伝えるという役割です。


報告書であるからには、誰かに何かを伝える必要があります。

しかし、ボランティア活動報告書においては、活動の内容を報告すること自体は本質ではありません。活動内容が知りたいのであれば、参加者に報告させるのではなく、主催者に聞いた方が効率的ですよね。では何が知りたいのか。


それは、ある活動を通してどれくらい思考を巡らせることができるのか、ある物事に対してどのような姿勢で取り組んでいるのか、といった「あなた自身」に関わる事柄なのです。


だからこそ、インターネットで例文を見つけてそれを少し変えて貼り付けたり、生成AIに全て作らせたりすることは、ほぼ意味がないのです。



ボランティア活動報告書の基本構成テンプレート


字数や学校などの指定がある場合はそちらをご参考ください。

以下には一般的にボランティア活動報告書に組み込むべき情報を挙げます。


1, ​基本情報(日時・場所・活動内容)

2, ​参加の動機・目的

​3, 具体的な活動内容(事実)

​4, 活動で直面した「課題」や「気付き」(考察)

​5, 今後の展望・アクション


この流れで書けば、全体として「過去」→「現在」→「未来」という時系列に沿っており、一定程度まとまりのある文章となるでしょう。


記事をここまで正確にお読みいただいた方であれば、この中で一番大切なのは4 であることがご理解いただけるはずです。


1、 2、 3 は事実を書くだけなので、この記事では主に4, 活動で直面した「課題」や「気付き」(考察)の書き方・考え方」を深ぼっていきます。


最後に1,2,3,5のポイントについても記載しています。

 



​感想で終わらせない!考察の深め方


​役割のところで、自己分析が目的であることを説明しました。


またその内容によって、書いた人の物事に対する姿勢が見えてくるということも紹介しました。

しかし、実際に書いてみると「ためになった」とか「勉強になった」「楽しかった」などといった、抽象的な感想に帰着することも多くあります。


もちろん直感的な感情は重要ですが、ボランティア活動報告書においてはもう少し深掘りたいところです。以下では深ぼるにあたっての観点を紹介します。



​視点1:自分自身の課題


​ボランティア活動をしていると、自身の足らざる部分に気づくことがあります。


たとえば、当団体で行っているボランティアの一つに「高齢者と交流する」というものがありますが、実際に話してみると意外に話しかけるのが難しかったりします。また認知症や難聴など、高齢者の方々が抱える問題を知らずに失礼なことをしてしまったということも考えられますね。このような「体験したからわかる自身の課題」は多くあります。

また、足らざる点のみではありません。「意外と得意かも」というものを見つけることにも価値があります。お話するのが苦手だと思っていたけれど、高齢者の方と話すと結構話せた、ということもよくあります。


ボランティアがなければ気づかなかったであろう自分自身の素顔に注目してみましょう。


△の例

高齢者の方とたくさん話せて楽しかったです。
皆さんとても優しく、私自身も勉強になりました。これからももっとコミュニケーション能力を高めていきたいと思いました。

◎の例

高齢者との交流の際、難聴や認知症を持つ方に対して、私が声のトーンや話すスピード、話題選びに十分な配慮ができていないことに気づきました。
特に、会話が途切れた際に慌てて一方的に話してしまい、相手のペースを無視してしまっている瞬間がありました。
これは、相手の立場に立って考えるという意識が欠如していたためです。今後は、事前に高齢者の方々が抱える一般的な課題を学習し、「話すこと」よりも「聞くこと」に意識を向け、相手の反応を待つ姿勢を訓練する必要があると感じました。


視点2:活動現場の課題


ボランティアの運営に注目するのも良いでしょう。


たとえばイベント運営のボランティアであれば「もう少しこうすれば効率的なのではないか」という点や、「このようなやり方にした方がもっと満足してもらえるのではないか」といった点を発見できます。


活動現場の課題を見つけられるということは、それだけ「活動の主体」として自分を捉えられているということですから、非常に素晴らしいことです。

その改善点を当日誰かに伝えることができたのかどうかも重要です。誰にも言えなかったのであればそれはなぜなのかなど、視点1と絡めながら書き進めることもできますね。

なお、一般メンバーである私から当団体のリーダー陣をみた時、彼らは「ボランティア」という概念そのものに対してもチャレンジしようとしているように思います。

アルバイトではなくボランティアである理由や、与えるだけではダメだよねという考え方をもとに「どうすれば持続的な活動ができるのだろうか」「どうすれば意義のある活動になるだろうか」という点を議論したりしているようです。少なくとも「まあ今のままでいいんじゃない?」という姿勢ではないですね。


△の例

イベントは成功し、参加者は満足しているようでした。
スタッフの皆さんの動きも素晴らしく、とても効率的に運営されていたと思います。また機会があれば参加したいです。

◎の例

イベント終了後のアンケート回収率が、対面での声かけにも関わらず約30%と低迷していることに疑問を感じました。
参加者が出口へ急ぐ中で記入を依頼すること自体が負担となっていたことが原因ではないかと考えられます。この現場の課題に対し、私はすぐに提案を伝えられませんでした(自分自身の課題)。
今後は、アンケートをその場で記入させるのではなく、QRコードを配布してWeb回答に誘導し、抽選で景品が当たる仕組みを導入することで、参加者の負担を減らしつつ回収率を改善できるのではないかと提案します。


視点3:社会的な課題


今行っている活動に対して問いかけを行うことも重要です。


なぜ今この活動が必要なのか、根本的な課題は何なのかといったことを深ぼっていくことも、自身の学びに繋がります。

また、この課題も「少子高齢化」「地球温暖化」のような大きなカテゴリーの一般論に終始するのではなく、活動で見えてきたことを踏まえてより具体的なことに繋げられるのが望ましいです。


同時に、行ってきたボランティア活動がそれらの問題の本質を解決しうるものであるのかという点も、批判的視点を入れながら振り返ってみると面白いでしょう。


△の例

食料を必要としている人がたくさんいるという社会的な課題を認識しました。
日本はまだ格差が広がっているので、フードバンクのような活動はとても大切です。少子高齢化や貧困問題はもっと解決されるべきだと感じました。

◎の例

食料品の仕分け作業中、賞味期限が近い大量のインスタント食品や菓子類が寄付品に多い一方で、生鮮食品や栄養バランスの取れた食材が極端に少ないという現状に直面しました。
これは、単に「食料が足りていない」という課題ではなく、「貧困家庭における栄養格差」という、より具体的な社会問題が背景にあることを示唆しています。
フードバンクは緊急的な食料支援として重要ですが、この活動だけでは「栄養格差」という問題の本質的な解決には繋がりにくいという批判的視点を持つに至りました。
今後は、支援対象者に対する栄養教育プログラムの導入や、地域農家との連携による野菜の寄付推進など、より複合的なアプローチが必要だと考えます。

4(考察)以外のチェックポイント


​事実は「5W1H」で明確になっているか(1,2,3の内容)


5w1hをあらわした図

項目1、2、3の内容についてはあまり紹介してきませんでしたが、事実の記述においては「いつ」「どこで」「誰が」「なぜ」「何を」「どうしたか」が明確になるようにしましょう。

活動内容の報告自体は本質ではないとはいえ、何をやったかがよくわからなければ、その先の分析が訳の分からないものになってしまいます。

5W1Hに配慮した記述を心がけましょう。



​課題に対する「自分なりの意見・提案」が含まれているか(5の内容)

5、の項目の部分についての記述がなされているかどうかも重要です。

4(考察)で深ぼった課題や気づきに対して、自分がこれからどのようなアクションをとるのかを書いておきます。

「将来こんな感じでがんばります」という展望でも良いですが、具体的な行動目標があればより望ましいです。

今できることは何なのかということに焦点を当ててみましょう。4(考察)で課題や気づきを見つけた際に、その場で自分なりの意見や提案を考えるようにしておくのがおすすめです。「課題」→「考察」→「提案」という流れを意識しましょう。


報告書作成は次の活動への第一歩


今回はボランティア活動報告書の意義と書き方、書く際のポイントなどを紹介してきました。

仮にボランティア証明書が求められていない場合であっても、考えることには価値があります。ぜひ本記事を参考にボランティア活動報告書を作成してみてください。

最後までご覧いただきありがとうございました。


興味があれば以下の記事も併せてご覧ください。



CORUNUM

NPO法人CORUNUM ~アートを通じた共生社会の実現へ~

© 2024 Nonprofit Organization CORUNUM. All rights reserved.

  • Instagram
bottom of page