環境問題禍のビーチの現状
皆さんは“ビーチ”と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。
観光地としての印象が強いかもしれません。もちろん観光地としてはもちろんですが、海の自然と繋がる、自然保護区としても重要な場所です。
しかし、近年、環境問題がビーチに深刻な影響を与えている現状があります。
日本のビーチの現状
まず日本のビーチの環境問題について言及していきたいと思います。
日本では、特に海洋プラスチックごみの問題が深刻です。
日本沿岸に漂着するプラスチックごみの量は年々増加しており、環境省の調査によれば、年間約3万トンの海洋プラスチックごみが発生しています
このごみは海洋生物にとって致命的であり、食物連鎖を通じて人間の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。
また、海水浴場の水質悪化も深刻な問題です。農業や工業からの排水、都市部の下水処理施設からの排水などが海に流れ込み、水質を悪化させています。
これにより、藻類の異常繁殖が発生し、赤潮や青潮といった現象が起き、海洋生態系に悪影響を与えています。
この内容を受け、実際にビーチに足を運んでみた結果、目視でも大量のプラスチックごみを発見することができました。
下記に画像を添付いたします。
(海洋プラスチックごみがビーチに打ち上げられている様子)
2022年8月30日 鳥取砂丘にて 撮影:伊藤七帆
世界のビーチの現状
続いて世界にも目を向けていきたいと思います。
日本と同様に、世界的に見ても、ビーチは様々な環境問題に直面しています。
プラスチックごみは世界中の海洋の規模で考えると毎年800万トン以上のプラスチックごみが流入しています。これにより、多くの海洋生物が被害を受けています。
いくつか有名な例を上げるとするならば、ウミガメがプラスチック袋をクラゲと間違えて食べてしまう事例や、ウミドリがプラスチックの破片を餌と間違えて食べてしまう事例が報告されています。
さらに、ごみ以外の問題にも視野を広げていきます。
その1つが、気候変動による影響です。地球温暖化により海水温が上昇し、サンゴ礁の白化現象が進行しています。これにより、美しいサンゴ礁を目当てに訪れる観光客が減少し、観光収入に依存する地域の経済にも影響が出ています。
地球温暖化の問題は一見ビーチと結びつかないかもしれません。
しかし、環境問題は全て繋がっているとも言えます。海面上昇により、ビーチ自体が浸食されるリスクもあるのです。
特に、太平洋の島国や低地の沿岸地域では、ビーチが消失する可能性もあるのです。
ビーチクリーンの意義
ビーチクリーン活動とは
ビーチクリーンの意義について問う前に、そもそもビーチクリーンとは何か詳しく調べていきます。
まず、ビーチクリーン活動とは、ビーチに漂着したごみを収集し、環境を保全するためのボランティア活動です。
この活動は、環境保護団体や地域コミュニティ、企業、学校などが主体となり行われることが多くあります。
ビーチクリーン活動の主な目的としては、海洋ごみの除去を通じて海洋環境を守ることです。
プラスチックごみやガラス片、金属片などが海岸に漂着すると、前半で述べたように美観が損なわれるだけでなく、海洋生物が誤って飲み込んでしまうなどの深刻な被害を引き起こします。
ビーチクリーン活動は、これらの問題を未然に防ぎ、健康で安全な海洋生態系を維持するために重要です。
ビーチクリーンの意義
ビーチクリーンの意義としてはまず環境を守ることが挙げられますが、そのほか興味深い点がいくつかあります。
1点目は、ただ目の前のビーチを綺麗にするだけではなく、収集したごみのデータを記録し、どのような種類のごみが多いのかを分析することで、根本的なごみ問題の解決に役立てられるという面です。
2点目は、参加者が直接ごみを拾う経験を通じて、日常生活でのごみの削減やリサイクルの重要性について理解を深めるという効果も期待できる面です。環境問題を自分ごととして捉え、当事者意識を生むきっかけにもなりえることでしょう。
3点目に、学校や地域、団体としてビーチクリーン活動を行うことで、コミュニティの絆が強まり、コミュニティ全体で環境問題に取り組む意識が育まれることも考えられます。
(海洋プラスチックごみによってできた “道” )
2022年8月30日 鳥取砂丘にて 撮影:伊藤七帆
CORUNUMができること
世界的な動きや対策
団体としてNPO法人/学生団体CORUNUMができることを考えるために、まずはこれまで述べてきたことに対して、日本や世界の多くの国々が様々な対策を講じているか、事前に知っておく必要があります。
まず日本では、プラスチックごみの削減に向けた法整備が進められており、使い捨てプラスチックの利用を削減する動きが広がっています。
また、前述したように地域や学校団体などのビーチクリーン活動や環境教育を通じて、国民の意識を高める取り組みも行われています。
次に世界的には、国連が主導する「海洋プラスチック憲章」や、EUによる「プラスチック規制」などが有名です。
さらに、多くの企業やNGOが海洋ごみの回収や再利用に取り組んでいます。オーシャン・クリーンアップ・プロジェクトは、海洋に漂うごみを大規模に回収する技術を開発しています。
(海洋プラスチックごみと美しい海)
2022年8月30日 鳥取砂丘にて 撮影:伊藤七帆
CORUNUMができること
これらを踏まえてNPO法人/学生団体CORUNUMは何ができるでしょうか。
一番に考えられることとしては、「発信すること」だと言えます。
ビーチクリーン活動はビーチを綺麗にすることで直接、海洋ブラスチックごみを削減するという目的があります。しかし現実的に全ての人がビーチに赴き、行動するにはハードルが高いという人もいるでしょう。
しかし、これまで調べた中でビーチクリーン活動は「現状を目の当たりにして当事者意識を持つ」ことに大きな意味があるという事実も発見しました。
NPO法人/学生団体CORUNUには一つの地域に止まらず、全国各地メンバーがいます。これを強みに、自分の地域の環境問題やビーチクリーン活動に目を向け、意識し、共有していくことが大きな一歩だと言えます。
実際にビーチに行き、プラスチックごみを回収することは環境にとって素晴らしいことです。しかし、ビーチクリーンに対して「行動する」ことは実際にごみを拾うことだけに止まりません。
この記事が、環境問題への意識を向けるきっかけの一助となれば幸いです。
参考文献
環境省HP https://www.env.go.jp
海洋プラスチックごみの発生・移動とその行方 磯辺篤彦
Commenti